ロシア経済危機とクリミアの話(3)

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ロシアにだって三分の理がある

さて以上の経緯から、ドニエプル東岸までもをウクライナと呼ぶのは無理があります。実は日本人だって、ずっとウクライナだとは思っていなかったのです。その証拠に岩波文庫『静かなドン』から引用してみましょう。どこまでが「ウクライナ」と書いてあるでしょうか?


この地図ばかりではありません。ショーロホフの作品を読めば、ドニエプル東岸はロシア系コサックたちが住んでいたとわかります。なるほど、ショーロホフ自身はロシア系コサック村の生まれです。スターリンに気に入られ、保護されていたことも付け加わります。

だからその筆に、政治的意図は皆無ではないでしょうが、東岸をウクライナでない、とわざわざ書く動機も見あたりません。当然の事実だったからです。その後ロシア革命のいきさつの中で、東岸はウクライナに含まれることになりました。ただしその詳細な経緯はわかりません。

しかしクリミア同様、大いに政治的理由によるでしょう。加えてウクライナもまたソ連邦の下にあり、そこにロシア人が住んでいようが不都合はなかったでしょう。それなのに今世紀になって、ウクライナ政府はこの東岸に住む、ロシア系住民を弾圧したわけです。

武力併合がいいとは言わないが

これまでつらつら書いてきたのは、何もロシアの肩を持とうとしたからではありません。確かに私には、ロシア趣味がありますが、それだけではありません。日本ではあまりに、ウクライナ側=アメリカ側からの情報だけが、一方的に流されてきたと感じるからです。

弱者のはずのウクライナ政府が、抱え込んだロシア系住民に何をしてきたかは、あまり聞こえてきません。特に独立後のウクライナが、ロシア系住民にウクライナ語を強制した事は、まぎれもない圧政と言っていいのにです。聞けば二つの言葉の違いは、方言程度とはいいますが。

大阪生まれ大阪育ちの人に、津軽ことばを強要できますか? 確かにロシア人自身が、かつてロシア語の強制や、はては民族浄化まで行ったのは史実です。しかしだからといって、ウクライナの圧政が正当化できるわけではありません。ひどい事は、誰がやろうと非道です。

…私は少し語りすぎたかも知れません。ここでいくら書き連ねたところで、当事者に幸福が訪れるわけでも、不幸が減るわけでもないからです。いつも通り「関係ない」として、心のざわめきを起こさないようにした方がいいのでしょう。しかし私ごときの者でさえ。

たまには無駄と知りつつも、書きたくなる事はあるものです。

声ある者は幸いなり

世の中に流される情報は、意図的にゆがめられていることが多い、と知ってはいても、ついつい乗せられてしまう事はあるものです。加えて自分の管理下に置く事が出来ない事柄を、あれこれ考えても仕方がありません。しかしどうせ書くのなら、煽られて書きたくはありません。

とりわけ、世の中で「かわいそう」とされている人や集団について、そう考える事があります。本当に可哀想なのは、声さえ出せず、出しても聞いて貰えない人々でしょう。動植物やその他自然物を含めてもいいかも知れません。いくぶん言い訳めきますが、それゆえ今回は。

いわば「札付き」のロシアについて、少々語ってみたわけです。

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