パイェーハリ! 宇宙旅行のお値段と金価格

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宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の商用宇宙船「スペースシップ2(SpaceShipTwo)」が22日、乗客を乗せた状態で初めて飛行し、米国で宇宙空間と見なされる高度に達した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190223-00000011-jij_afp-sctch

宇宙旅行に出る乗客ははじめてか?

「初の乗客あり宇宙旅行に成功」とリンク先は言います。ここでちょっと「おや?」と思うのは、1990年にロシアの宇宙船で飛び立った、TBSの秋山豊寛さんは、乗客ではなかったのか? という疑問です。

ここで秋山さんを貶めよう、という気は毛頭ありません。打ち上げたR-7型ロケットが極めて優秀で、初の人工衛星であるスプートニク以来、ほとんど事故無く今まで使われているとは言え、秋山さんにはそれ相応の生命の危険があったでしょうし、訓練も厳しかったでしょう。

それでもなお、本職の飛行士たちよりはゆるい訓練で済んだはずです。操縦や緊急時対応は本職任せのはずですから。つまり一人前の飛行士が達するべき技能水準よりは、低くて済んだと思うのです。それゆえに私は秋山さんを、飛行士と言うより乗客と考えるのです。

それでもガガーリン少佐やライトスタッフは英雄だった

ですから同じ物差しで、米ソ・ロシアの宇宙開発を考えるとき、人類初の宇宙飛行士となったガガーリン少佐を、やはり英雄だと認めます。故中島らも氏は、「世界の英雄」シリーズに少佐が入っていたことに、首をかしげたと言いますが、何事も初挑戦とは困難なものです。

当時の宇宙船は米ソ共に、地上から完全にコントロールされていて、飛行士が出来る事はほとんど無かったと言います。まさに『オネアミスの翼』で、「ただ放り上げて、落っこちてくる、それだけのものだ」だったようです。ガガーリン少佐はそれに従いましたが。

アメリカの飛行士たちは「荷物扱いだ」と食ってかかり、船に窓を開けさせたり、簡単な操縦桿をつけさせたりしたそうです。司令部や技術陣は「お前らは何もするな! ただ生きて帰ってこい!」と抵抗したらしいのですが、結局飛行士がストまで起こして認めさせました。

さておとなしく従ったガガーリン少佐が、人類初の飛行士に選ばれたのは、まさにこの従順さが決め手だったようです。加えて少佐は明るく人なつっこい人柄で、死の世界に出かける恐怖をみじんも漏らしませんでした。でもいよいよ打ち上げられる際、轟音と振動の中で。

少佐が思わず叫んだ言葉、「Поехали(パイェーハリ)!」は、「さあ、行くぞ!」という意味だそうです。寡黙な少佐もこの時ばかりは、叫び出すしかなかったのでしょう(こちらで実物音が聞けます)。やはり荷物でも乗客でもなく、英雄と言うべきでしょう。

「さあ、行くぞ!」と叫んで、我が人類は宇宙時代を切り拓いた。ガガーリン少佐私にとっては「地球は青かった」より、よほどこの言葉に心揺さぶられるのです。

少佐の乗るボストーク1号は、上述の通り自動操縦で制御されましたが、万一に備えて手動操作の手順を示す封筒が、少佐に渡されていたと言います。少佐はそれを開くことなく帰還しましたが、自分の生き死にの瞬間、封筒を開かなかった長い長い時間があったのです。

すさまじい忍耐と思います。実際ボストーク号は、帰還不能になるほどの危機があったにもかかわらずです。日本や多くの国で、水道・電気始め生き死にに関わるような大規模管理は、こんにち機械制御に任されています。少佐がいなかったら、この信頼はあったでしょうか?

webもありえたでしょうか?

もし秋山さんが今宇宙に飛んだら

さて秋山さんの時ソ連当局は、約2.000万ドルをTBSに要求したそうです。一方ヴァージンの宇宙飛行料金は200万ドル。1/10です。例によって(?)金価格で補正しますと、1990年の金1トロイオンスが約400ドル、2018年が約1,350ドル。だいたい3.375倍です。

ドル金価格(出典:https://fred.stlouisfed.org/series/GOLDAMGBD228NLBM)

つまりソ連のボストーク号搭乗料金は、今で言えばもっと高くなり、6,750万ドル! ヴァージンの33.75倍。ソ連崩壊とバブル経済真っ盛りの歴史的組み合わせ? 技術の進歩もありましょうが、宇宙は民間人にとっても、たいへん手近になったのは間違いないようです。

ただし、お金持ちにとってだけ。ほほほ。

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