良い趣味≠趣味が良い

私には子供の頃からロシア趣味があって、そのくせロシア語は辞書を引くのがやっとというお粗末ぶりだが、なんだかそれだからこそ良かったのかもと思う。趣味は良き暇つぶしとして、退屈を紛らわすだけで十分な実利がある。不幸を癒し幸福を増すのは良いことだ。

だが趣味を商売にしてしまうとこうはいかない。だから趣味は隠し持っておいた方が良いことが多く、ぶんがぶんがドンドンと囃して見せびらかさない方がよい。アキバに行くのはよろしいが、萌え萌えのビニール袋をぶら下げて歩くと、カトー君の格好の餌食になりかねない。

こういう感覚は、日本武道を稽古したおかげかも知れない。流派によって呼び名は違うが、武器術の構えの一つに弱法師よろぼしの構えというのがある。いかにも弱そうに見せつけて、なめてかかった敵をぶった斬ったり、脳天をかち割ったりする。中国武術とは対極的だ。

(注。棒使いが棒を持った腕を後ろに回し、横一文字に首の後ろで構えたら、一目散に逃げ散った方がいい。次の瞬間、こめかみをブチ破られるか、腕を叩き折られる。バネと反動を利かせるから、受けは不可能。人をあやめるのに刃物などいらぬとは、こういうことを言う。)

内田流短杖術 其之弐 Uchidaryu tanjojutsu Jojutsu jodo

中国武術は、日本に伝来したものしか稽古してないが、何かとハッタリが多すぎて、実戦できるのかしらんと不安になる。例えばヌンチャクを振り回したりするが、あれは全く攻撃の役には立たず、素人をビビらせて追い払う効果しか無い。素手でも十分対抗されてしまうのだ。

具体的には、じぃーっと見物していればいい。近寄ったらその分どいてやる。そのうち根が尽きてくたびれる。そこをボコってやればよろしい。素人にも簡単だ。それを気短にどうこうしたがるから、道場で汗をかくはめになる。

もっともハッタリで事が済むならそれが一番良いから、あれはあれでアリだと思っている。語学も見せびらかさない方がいい。昔ステテコ姿で仕事場の前の通りを掃き掃除していたら、本郷か神田あたりの教員と思しき女性と、ロシア人の中年女性が連れ立って歩いてきた。

もちろんぺちゃくちゃとロシア語でしゃべっていたから、それと判明したのである。思わず聞き惚れて、「綺麗なロシア語」とつぶやいたら、女性教員が目を白黒させて立ち止まった。ステテコ姿のおっさんが、まさかロシア語を聴いて分かるとは思わなかったようである。

突然立ち止まったので、連れのロシアおばさんも事情が分からず、やはり目を白黒させていた。ただし私が聞き惚れたというのは本当で、趣味者として思うのは、文学と音楽については、ロシアのそれは人類第一等だという個人的感想を事あるごとに思うし更新する。

https://www.youtube.com/watch?v=8aP5Of1pmp4

(注。広大なロケ地に膨大なエキストラ、実物の武器弾薬。兵士役のエキストラの多くは、現役のソ連兵だったと聞く。しかも作り手に、原作者に対する国家的敬意があった。こういう映画は、もう二度と作れないのではないか。ヘップバーンが演じたハリウッド版が、くだらねえメロドラマにしちまったのとは対称的。

ちなみに爺さんがなんて言ってるか、まるで分からないので首をかしげ、思った。これ、ドイツ語じゃないか? ”ルスラント”って言ってないか? もちろんドイツ語は、一言半句も分からない。)

もっとも、明治以降ロシアは日本人に対して悪の限りを尽くしたと言って良く、今なお日本社会を破壊しようとする企みを止めない。そして時折見せる野蛮性はまさに蛮族で、「数学の得意な野蛮人」と言うに相応しい。それが矛盾せず消化できるのは、やはり趣味だからだ。

論語の翻訳などするのもそうで、判定はする人それぞれだが、少なくとも個人的感想として、誰もやっていない先頭を走っているという確信が持てる。だから教授だろうが大儒だろうが、インチキはインチキと平気で言えてしまう。それもてらい無く思えるのは、趣味だからだ。

この趣味を始めたきっかけの一つは、安冨歩の論語本を読んだことだ。廃棄物などで日本の役人がやらかしている非道や、毒親について積極的に発言するなど、今どき良心的な学者もいたものだ、と思った。だからその専門とする経済学の主著など買って読みまでした。

ぜんぜんわからんかったが、それでよい。件の論語本も、自分が漢文を読めないことを前提に、門外漢だがこう思う、というスタンスで書かれていたので好感が持てた。ところが、である。思い上がって、全訳本を出したらしい。なんだ、ただの世間師のオカマではないか。

東大教授という肩書きにのぼせ上がったのだ。知るを知ると為し、知らざるを知らざると為せ。これ知るなり、と論語に書いてあるのだが。原文が読めないのに、訳本とは笑わせる。クズで団塊の元テロリスト、高橋源一郎や、いんちきハゲの佐久協と仕出かしたことは違わない。

(注。畳語である。団塊は漏れなくクズだからだ。僅かな例外は原則を崩さない。)

自分の眼力の無さに恥じ入る思いがする。一般的な観察として、日本の文系の教授はただ威張っているだけで、研究もしなければ教えもしない。人の苦痛を除いたり、幸福を増すようなことをしない。だからもう職業であることをやめて、自分のカネでやって貰いたい。

東大教授で社会的発言をする奴とは、上野千鶴子のような本物の吉外ばかりなのだろうか。それともただのひがみ屋なのだろうか。これは日本のお座敷左翼によく見られる現象で、安全でカネのかからない所から偉そうなことを言っているだけだ。だから世間に信用されない。

右翼のあまりの頭の悪さにもうんざりするが、左翼の高慢ちきも鼻持ちならない。例えば、たかが名の通った大学を出たに過ぎないのに、自分がものすごく賢いと勘違いしている。だから日本の左翼は、イワンのばかのような、清く正しく美しいばかになれないのだ。

イワンのばかは、いくつになってもはっとさせる言葉に満ちている。その上人類第一等の文豪の手になるだけに、読ませる工夫がふんだんにある。イワンの兄弟を破滅させに来た小悪魔は、三匹ともイワンに捕まるのだが、泣いて頼むとイワンはばかゆえに、許してしまう。

だがその都度「イエス様がお前たちをお導き下さるように!」と言ってしまったものだから、小悪魔どもは早速イエス様に導かれて成仏?してしまい、この世から姿が消えてしまう。これはいったいいい事なのか、判断に迷うし考え込ませる課題である。つまりはよい暇つぶし。

また小悪魔に教わった法で、イワンは金貨を村の衆にばらまくのだが、そう言ってやっても村の衆は、イワンをばかにして真に受けない。本当にまき始めると今度は押し合いへし合いして、おばあさんがつぶされそうになる。それを見てイワンが言う。「お前達はばかだなあ。」

それは確かに事実なのだ。それを思っているだけで、今日も日が暮れていく。

良き暇つぶしには、自分はいくつになっても至らない者であると言う、一種の信仰が必要かも知れない。もちろん、神は人間が作ったもので、宗教とは一種の吉外に他ならない。だが過酷な環境にあっては、人類はまだ信仰を必要とするようだ。たとえば夜と霧の世界であったり。

潜水艦K219の標語、「潜水艦勤務は任務ではない。信仰である」だったり。だが安全な所にしかいないお座敷左翼に、信仰は無縁であるだろう。例えば山登りを好む団塊や左翼は多いが、人に押し付けて回るそれでない、大自然に対する敬虔な感情は持たないのだろうか。

山中、人自ずから直し。素直に感じればそれで分かる。人格の涵養には知識は無用。むしろ躓きの石になりかねない。これもまた、武道の稽古を通じて私が授かった、実り多い教訓である。ネット掲示板の武道スレが、漏れなく下らないのも、知識誇りしかいないからだ。

深田久弥を一晩中しゃべり続ける山登りのような者で、登山家でもなく下山家ですらない。武道スレもあれが強いこれが弱いとベラベラ語る暇があったら、道場で目を回す思いをすればいいのだ。痛い思いをしないで、なんで技が身に付こう。お座敷者にはこれが分からない。

結局のところ、左翼も一種の信仰に他ならず、その教義は中国人そっくりの、福禄寿の追求でしか無い。社会的活動に、いつも人の金を使いたがるのはそれゆえだ。自腹を切らない。ダミアン神父のような猛烈な勇敢さも無い。ちょっと「いい人」になれた気がすれば満足らしい。

つまり趣味である。人の金を使っていい理由が無い。それにリンク先の小僧を見ていて思うのだが、誰だかわからない西洋のおじさんおばさんを一々引用しないと、ものが言えないのは不自由で、痛々しくなる。そんなのより野の花や、鳥や星の名を覚えた方が幸福になる。

それともいっそ、掃除や洗濯や炊事や裁縫など、家事を趣味に出来ると覿面に生活が豊かになる。そして金もかからないし、認めてくれる他人も要らない。自分で自分を豊かに出来る。つまらない知識でつまらない思いをするより、はるかに楽しく日々を送れる。

人に趣味がいいと言われるのは難しい。趣味は人それぞれだからだ。だが良い趣味を持つのは簡単だ。そしてお座敷左翼や文系教授のように、みっともなく、人から金をたかる必要が無い。右翼のような阿呆にもならない。何かと人を脅しつける、陰惨さを背負う必要も無い。

趣味の善し悪しは他人が判定する。決して自分の自由にならない。私のロシア趣味もそうで、人に言われるまで、ロシアは野蛮で田舎くさくて格好良くないとは知らなかった。同様に安冨の女装は、決して趣味が良いとは私には思えないが、当人には別の言い分があるだろう。

どこか間違えた所があるだろうか?

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