ザワークラウト

子供の頃、生野菜が食卓に並んだという記憶が無い。我が家だけがそうだったのか、当時のポンニチの大概がそうだったのかは判然としない。そのためというわけでは無いが、今でも生野菜をめったに食べない。無駄にしてしまうことも多いし、もったいないからだ。

だから野菜も乾物か漬物ばかり食べている。中でもザワークラウトは常温で保存できるし、栄養は豊富だしで、普段の食膳にも騎行の糧食にも重宝する。ここ数年は安くて質のよい東欧産の瓶詰めが手に入ったので、自作をしてこなかったのだが、最近見かけなくなってしまった。

だが時は花見頃、キャベツの出盛りの時期でもある。一玉100円で並んでいたので、4つ求めて陋宅に帰る。キャベツも4玉となると、調理と言うより解体で、狭い台所では間に合わず、風呂場が臨時の作業場となる。よく洗い、中華包丁でバッサリ斬り、スライサーを取り出す。

そこからは延々と、キャベツ半玉を掴んだ腕を往復運動させることになる。用心にケブラーの軍手を履いて。だんだん腕がつってくる。この往復運動がたいそうマヌケに思えもする。だが寝床で女性再手につかまつるナニガシかの作業も、はたから見ればマヌケであろう。

4玉を一度には処理しきれず、2玉が削げたところで一番大きなボールが一杯になった。適度に塩を振って揉むことしばし。物理法則に従って細胞壁が壊れ、青菜に塩のたとえの如く、2L弱の漬け壺の中に収まる程度にしなび、その代わりに栄養豊富な漬け汁が出てくる。

午后の二時間ほどをこの作業に費やす。美味く漬かってくれるとよいのだが。



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