…ちょうどその頃、中国にもredが世にはばかるようになった。歴史上中国は、世界の最先端資本主義国だった時代が長いが、redのいうブルジョア革命が起きたことがなかった。要するに、共和国にならなかったという事だが、都合の良いことに清朝が倒れて共和国になった。
これがブルジョア革命だとredは言い張ったが、中国史的常識から観ればただの群雄割拠で、次なる帝政の準備期間に過ぎなかった。だが実情をひた隠しにしたソ連があまりに成功をおさめたように見えたので、群雄も天下を取った後帝政に移行するかの判断をためらった。
これが中国史のサイクルを、今までに無いものへと変えた。金属器を知らなかったサン・サルバドルの原住民は、コロンブスが突き出した剣を素手で握って怪我をしたという。知っている・いないのon/offは、後世の人間が想像する以上に当時の人間にとって重大となる。
つまり、帝政を廃止した共和政体が歴代帝国同様に安定した全国政権になりうる、と中国人が初めて知ったのはソ連によってである…。