一日の多くを机前で過ごしてゐる。
机の奥は背丈ほどの棚で、その一番上段に加湿器を据える。座高あたりの段に百均のUSB扇風機を据える。足元にも2つ据える。これで上から霧が降りてきて、頭上で蒸発して熱を奪い、体に冷たい空気が降り注ぐことになる。消費電流を計測すると25wと出た。
一般的なヒーポン式クーラーだと、50Hz地域ではウインドファンで670w程度、能力に余裕のある据え付け型で1000w以上。対して自作?の初期費は加湿器が1.5k円程度、usb扇風機が3つで1k円程度。一日8時間使って電気代は月220円弱(202306~東電従量電灯B)。
対して1kwのエアコンはフルに回すわけではなく、気温によって消費電力は変わる。だから日月いくらかは専門家に任せるとして、我が身の前上半身のみを冷やすのと、部屋全体を中身ごと含めて冷やすのと、どちらがエネルギーとお金を使うかは明らかだ。
例えば石や煉瓦やコンクリートはそこそこ熱容量が大きいから、耐火以外に蓄熱の目的でも、暖炉に使われたりもする。ペチカやオンドルが煉瓦の長い煙道を持つのはそれゆえだ。これは暖まりにくく冷めにくいことでもある。冷房能力をはばむ要素でもある。
夏場はいつまでも熱を発して、エアコンをぶん回してもぜんぜん冷えなかったりする。加えて暖房もそうだが、一旦適温まで整えた空気をたいてい、昼夜の居場所替えに伴い外に逃がしている。エアコン回しっぱなし論が出るのは、そういう意味ではもっともだ。
「家のつくりやうは、夏をむねとすへし」と兼好法師が書いたのももっともで、日本の気候には熱容量が小さく、風通しの良い木と紙の家がいいのだろう。陋宅のような木造は、今では貧乏臭く見られることがあるが、長所がまるでないわけではない。
幸いに手先不器用に生まれなかったから、私立文系バカの脳みそでも、ある程度思ったことを実現できる。冬場の熱を生み出すのは結構簡単だが、人類史同様冷やしの実現までには時間がかかった。だがこれでやっと、エアコンという魔道具なしで暑さをしのげる。

©日月ネコ『理想のヒモ生活』より。ある方向で今一番絵のうまい絵描きさんだと思っている。
なおもちろん加湿器には、水腐れ防ぎに十円玉を仕込んである。ただしタンクが3L弱しかないから、ほぼ毎日水を満たし直すことになる。おっと費用に水道代を忘れていた。一日8時間使うとして、1ヶ月で消費量は17.92L、料金は0.39円(呼び径13mm東京区部)。
光熱は我が身に伴わばけだし良からん。光も熱も我が身に伴えば、多分それでよい。